犬と猫のてんかん発作

てんかん発作は、犬と猫において多く見られる神経症状の一つです。今回はてんかん発作の遭遇時の注意点や原因などについてまとめました。

てんかん発作に遭遇したら

急なけいれん発作に遭遇しても、まずは慌てないことが大切です。無理に動物を押さえ付けようとせず、怪我をしないように周囲の物をどける、毛布やクッションなどで周りを囲むなどしてあげて下さい。また、なかなか難しいとは思いますが、携帯電話などで発作時の動画を撮影していただけると、診断の手掛かりになります。

てんかん発作

てんかん発作とは、脳の神経細胞が過剰に興奮することで生じる症状です。全身の激しいけいれん(全般性てんかん発作)を伴うことが一般的ですが、手足の引きつけや涎を垂らすなどの体の一部分のみで生じる発作(焦点性てんかん発作)もあります。脳の神経細胞は、興奮する働きとそれを抑制する働きがあり、通常それらが上手くバランスを保った状態を維持しています。何らかの原因で、脳の興奮が過剰になってしまった場合、てんかん発作が起こると考えられています。

てんかん発作を起こす原因

てんかん発作を起こす原因として、脳の病気で起こるもの(特発性てんかん、脳腫瘍、脳炎、脳梗塞など)と、脳以外の原因から二次的に起こるもの(異物の誤食、腎不全、肝不全、低血糖、ミネラル異常など)があります。これらを鑑別するために、中毒物質の摂取歴の確認や、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などの検査を行います。脳の病気が疑われる場合には、神経学的検査、MRI検査や脳脊髄液検査を実施することもあります。

治療

原因が脳の病気であれば、発作の頻度が多い場合、抗てんかん薬と呼ばれる発作止めのお薬が必要になります。脳以外の原因で発作が起こっている場合には、その病気に対しての治療を実施することで発作が現れなくなることもあります。

特に注意が必要なてんかん発作

多くのてんかん発作は数十秒から数分で終息することが多いです。しかし、5分以上発作が止まらない場合(発作重積)や、1日に何回も発作を起こす場合(群発発作)には、脳にダメージが蓄積し生命維持に危険をもたらす可能性があるため、すぐに動物病院を受診し発作を止める必要があります。

 

てんかん発作は誰もが心配になる症状だと思います。けいれんがすぐに止まったからと放置せず、てんかん発作以外にも、震えやふらつきなどの気になる症状があれば、是非お気軽にご相談下さい。

 

獣医師 香西泉咲