犬の気管虚脱に対する気管外プロテーゼ設置術(CETP ・PLLP)

気管虚脱とは?

気管とはC字型の硬い軟骨と一部分は筋肉の膜で作られた空気の通り道です。
口や鼻から入ってきた空気が気管を通して首から胸の中に送られ、肺に到達して初めて呼吸が可能となります。
この気管が何かしらの原因で脆弱になり潰れてしまうことで、咳やガチョウの様な異常呼吸音が見られたり、重篤な場合には呼吸困難に陥ってしまったりします。

 

原因が明確にわかっているわけではありませんが、チワワやポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬や柴犬がなりやすい犬種として知られており、遺伝的要因も背景にあると考えられています。

 

当院では光ファイバーを用いて作成したCETP(Continuous extraluminal tracheal prosthesis)と呼ばれるプロテーゼを設置する手術を行っています。

 

もし気管虚脱でお困りのわんちゃんがいらっしゃいましたら是非一度ご相談ください。

症例

12歳のマルチーズが咳やガチョウ様呼吸音を呈し来院され、レントゲン検査で気管虚脱が疑われました。

 

内科療法にて一時的に症状の改善は見られましたが、異常呼吸音が続くことよりCETP設置術による外科的矯正を行うことにしました。

 

気管支鏡検査により気管虚脱以外の病気が隠れていないかどうか検査したのちに手術を行いました。

 

手術後には気管がプロテーゼによって拡張され咳やガチョウ様の呼吸音は見られなくなり快適な生活を送ることができています。

 

↑レントゲン検査で虚脱した気管 

↑気管支鏡検査にて虚脱した気管を確認

←プロテーゼと縫合した気管

↑術後にレントゲン検査と気管支鏡検査で気管虚脱の改善が確認された

 

獣医師 藤本正紀