かゆみのあるワンちゃんいらっしゃいませんか？

夏場の高温多湿でかゆみが悪化してしまった子もいらっしゃるでしょうか。

アレルギー性皮膚炎は環境中のアレルゲンや食べ物中のアレルゲンに反応してかゆみが出てしまいます。このアレルゲンを特定するため、近年、ワンちゃん猫ちゃんの被毛、唾液を郵送することでアレルギー検査をしてくれるキットが販売されているようです。

しかし、この検査について以下のような論文が発表されています。

Hair and saliva analysis fails to accurately identify atopic dogs or differentiate real and fake samples

髪の毛や唾液の分析では、アトピー犬を正確に特定したり、本物と偽物のサンプルを区別したりすることはできません。

この研究では健康な動物7匹(犬6匹、猫1匹)、アトピー性皮膚炎の動物6匹(犬5匹、猫1匹)、合成毛皮と滅菌生理食塩水のサンプルが検査会社へ提出されました。

この論文の研究結果では、本物の動物の被毛、唾液と、合成被毛、生理食塩水を区別できず。再検査では偶然以上の一致結果はなく、再現性もなかったとのことです。

この研究ではサンプル数も少なく、すこし前の論文になります。今後更に研究が進むことでより正確に診断できることが期待できますが、現時点では結果の解釈に注意が必要かもしれません。飼い主様ご自身で手軽にできるキットですが、大切な動物が食べられるものを不必要に減らしてしまう可能性があります。

ペットさんのアレルギー性皮膚炎、かゆみでお悩みの際は、ぜひ病院でご相談ください。

参考文献

Joseph A Bernstein Kathy Tater, Rodrigo C Bicalho and Mark Rishniw (2019)　Hair and saliva analysis fails to accurately identify atopic dogs or differentiate real and fake samples  , Veterinary Dermatology