獣医ドリトルがはやってるけどこれ、獣医のリアルな生活3

受験当日。

 緊張していたが、何とか眠れた私はホテルの窓から外をみる。

 下から上に雪が風で舞い、遠くが全く見えなかった。

ビュービュー

 マジか・・・。

 寒いし、人がいないし・・・・

 ここに6年も・・・

 試験当日だったが、ここに受かったら、逆にどうしよう・・・・とさえ思った。

獣医学科もしくは獣医学部がある大学、もしくは獣医大学は国立、公立、私立あわせても日本に14校しかない。獣医学科の募集は少なく僕の出身大学などは35名ほどだ。国立大学はみんな1クラスの人数ほどの狭き門である。

私は、一年浪人したが、2年、3年の多浪もざらにいる。自分の大学では半分以上が浪人生、現役で合格した人は約3分の1であった。

ホテルは県庁所在地にあるが大学前の駅までは2駅あり鉄道にのる。

田舎だから本数は少ないのは予想していたが、ここまでとは・・・朝の出勤の時間帯なのに30分に1本ほどしかない。1時間以上来ない時間帯もあるのだ。

時刻表をみながら都会育ちの自分には信じられなかった。

駅のホームでさらに愕然とした。

雪の中、ワンマンとかかれたオレンジ色、2両編成の車両がやってきた。

止まったが、ドアが開かない。

じっと待っていると、横の人がドアをけるこじあけた。

一瞬止めそうになったが、平然と人が乗っていく。

寒い地方の車両は暖房の節約のため、ドアは手動だったり、ボタン式だったりするそうだ。全く知らなかった。

車両内は結構混んでいた。ほとんどが、受験生。

駅を降りると、ホームはひとつ、線路もひとつ。

どうやって電車がすれ違うんだろう・・・・。と思っていた。

学生になってからの話だが、地元の友達にここの電車には驚かされた、とこの話をすると、笑いながら、そして軽く、しかられる。電車じゃないで、汽車だで。

汽車?!俺のイメージではSL銀河鉄道999みたいなやつ、D51みたいな奴を想像する、が、見た目は普通で、ディーゼルエンジンであって電気で動いていない、という意味なのだ、汽車は油で走るので値段も少し割り増しだ。

余談だが、この地方に都会から来る特急は電気駆動とディーゼル駆動の両方できるのですごいのだそうだ。深い。そして、この雪。そりゃ、新幹線は通れんわ。

 何とか獣医学科にひっかかった私は、受験勉強から開放され、とにかく、遊ぶ気満々だった。大学といえば茶髪だろ、そんなイメージだったので、髪は染めて、初めての一人暮らし、楽しい想像ばかりしていた。ただし、みんなが憧れの獣医学科に合格したのだから、不合格だったひとに失礼のないようにしなきゃなーとは思っていた。

意外と国立大学の獣医学科の学生は1年生から髪を染めている男子は少なく、結構目立って、先輩からはちょっとだけ目をつけられていたらしい。チャラ男が入ったなーと。

 そんなことは何も考えず、サークルをどこに入るかばかり考えていた。中学高校、バスケ部ではあったが、下手の横好きで大した成績があるわけでなかったし、大学でもフットワークばかりするのは嫌だったので、ちょこっとできるとこがあればいいなとは思っていた。あとは、何かたのしいところにいきたいなー。