鳥取獣医師のリアルな生活 1

ピリリリリリ・・・・・

ピリリリリり・・・・・

いつもと違う音が聞こえる

ガバッ

はい、もしもし

AM 5:40

こうゆう時は一気に頭が回り始める。

どうしました?

はい

ええ

はい

そうですね、いまから来れますか?

僕もすぐ行きます。

また電話してください。

歯磨きも、顔も洗わず・・・・

お気に入りの自転車を持って階段を下りる。

後輩に電話する。

すまない!来てくれっ

あの子ですね?

そう、、

すぐ行きます

サンキュ

病院に到着。

原因は明らかだ。腹腔内出血。一気にきたな・・・

輸血の準備、気管挿管の準備、機械の立ち上げ。

何が要る?何が必要?

ピンポン!

来た、呼吸が荒く、意識がない、粘膜蒼白、脈はあるがおかしい

眼振(眼がぐるぐる回っている)まさに命を失う寸前だ。

状況を手早くオーナーさんに話す。状況はよく理解してもらっているので、こうなる可能性はあることはわかってもらっている。お話していたような状況であることはわかっていただいた。心電図をつけて、輸血、ショック防止の薬をうつ。血圧を上げる薬を入れる。

原因は失血によるショック。点滴のカテーテルを残しておいてよかった。

とにかく血管に輸血と輸液をしなければいけない。

後輩が来る、たすかる、血液をとる。もう6時半だ。

意識が少し戻る。

よし・・・

この子はお腹に大きな腫瘍がたくさんある。どうしようもない状態で、手術してもおそらくは命を永らえることはできないだろう。

自分としては手術すべきかどうかはすごく悩んで、他の先生とも相談した結果、手術は無謀だろうとのことで、断念した。

意識が戻り、退院はしたが、厳しいだろう・・・。

大学時代、車を手に入れた私は、一気に行動範囲が広がった。田舎では鉄道(地元の人は電気で走らないので汽車というのは前述ずみである。)やバスは不便で車がないとどうにもならない。だが車があるとかなり便利である。

車にのってとある砂丘に(まあ日本に砂丘のあるところは限られているが。)向かって田舎道を走っていたときのことである。

ゴリッ

突然何かが飛び込んできた。

よけるのは無理だった。

やっちまった。

とにかくUターンして戻ると、

道路に一匹の立派なテンが倒れていた。(天然記念物である)

即死しているとも思ったが、とにかく急いで動物病院に連れていこうと大学の付属動物病院に連れて行った。

夜中だったので人がいるかと思ったが、電気がついていたので突撃した。

外科の先生がいて、緊急処置をしてくれた。

・ ・・・

さすがに戻ることは無かった。

その先生がすごく優しかった。

しょうがないよ、

立派なテンさんだねこんな子がまだおるんだねえ。

隣の人は泣いていた。

このあたりからである。

僕が臨床に興味を持ち出したのは。

俺は、はじめ小動物臨床希望ではなかった。