獣医ドリトルがはやってるけどこれ、獣医のリアルな生活2
とまった?!
後ろから声が聞こえる。
すみません、少しお待ちくださいね、入院の子が急変したようなので。と早口でいい、全力で申し訳ない表情を作る、やばいです。と伝わりますように。
急患だ。オーナー様(飼い主さんのこと。クライアントさんとよぶこともある。)が、苦しそうなんですって連れてきたり、連れてこられたときには亡くなってることもある。あまり重く考えずに待合室にいて、受付さんや看護師さんが気づいて、先生、ちょっと苦しそうなんですけど・・・なんて言ってくれて気づく場合もある。急患の場合、事前に電話で聞いているのでみんながある程度戦闘体制になっていて、待ち受けることも多い。
ただ、今回は重症で入院していた子が吐いたあと呼吸がおかしく、気づいた先生がみている中で呼吸が止まった。
誤嚥だ。
ダッシュ!
心臓は・・・
止まってまぁす!
気道確保、気管挿管、詰まったものを吸引、
同時に、心臓マッサージ、薬を入れる。
ボスミン入れます!
いつの間にか病院のメンバーはほとんど集まっている
俺もだが、たぶんみんな診察の途中だ。
・・・・・・。
残念ながら、こういった状況で動物の救命率は結構低い。
もともと、病気をもって弱ってる子が多いためだ。
まだまだ、人間の医療と比べると、技術やデータも劣っていると思う。
・・・・・。
このときばかりはみんな真剣だ、生体モニターを見つめる。心臓は完全に止まっていないがかなりまずい不整脈がでていて、おそらくまともにポンプの機能を果たしていない。
・・・・・・・。
心臓マッサージが続く。
・・・・・。
戻った!
ひとり残って、オーナー様の到着をまつ。心臓は動いているが、意識が戻るとも限らない。
もう一度心臓が止まってしまうことも十分にありえる。
だが、診察は続いている。僕も、待たせているオーナーさんがいるので、ここは担当の先生にお任せして、診察に戻ることにした。
カルテが山のように並んでいる。
そりゃそうだ、急患の子の対応で診察が完全にストップしていたのだ。
順番に外来にでるしかない。
みんな待っているので、表情は怒っている。急患の対応でお待たせしていると謝りながら、診察にでていく。やさしいオーナー様が多いので、許してくれる人がほとんどだが、内心はイライラしてると思う。待たした分丁寧に診ないと、とも思うが、やはり焦る。そんなときに限って、重い患者さんと予約の患者さんが重なってしまう。みんな同じなのでこんなときは検査を頼める先生もいないし、保定(患者さんを押さえ込むわけではない、やさしく、そして動かないように。実は簡単ではない。)してくれる人も引っ張りだこ状態。
てんてこ舞い状態がつづくと学生時代に戻りたい。と思うこともしばしばです。
続く