命
「厳しいですね・・・・」
意識がない。
反射も鈍い。
初めて動物病院に来たという猫ちゃんは、朝方に電話があった。
今日は平和だったなーと言って片付けをしているところだった。
一応、6時までの診療だが、状態が悪そうなので、来ていただくことになった。
検査をしてみないとわからないですが、かなり厳しい状況です。
正直にいった。
検査をまずは、してみて。と思っていた。
若いお兄さんが連れてきたのだが、普段は2、3日一人ぼっちになることもあるという。
検査の金額を話すと、親と相談したい。とのことだった。
状態の悪い子なので、できるだけ早く決めて欲しい、といったが、なかなか、決められないようだった。
自分としては助からないかもしれないが、早く検査をして、状態を見極め、
治療に入りたかったが、低体温を温めることしかできない状態になってしまった。
お金が厳しいのか、率直に書くと安楽死をしてほしいようだった。
もう一度、よく考えてもらうよう話した。
基本、この病院では安楽死はしない方針なので、、、
また相談してもらう。
瀕死のネコは温めることしかできない。
あくまで検査、治療の選択は飼い主様に委ねられているので
僕には決定する権利はないし、色々やって、結局助けられない可能性が高いのは事実だ、、、、。
、、、、、、、
待つしかない
、、、、、、
「申し訳ありませんが、どうしてもお願いします。」
「、、、わかりました。」
、、、、
獣医師と医師の大きな違いのひとつは安楽死ができるかどうか。
いいことなのかどうかはわからないけれど、
僕らの「治療」の選択肢には、
(もちろん最終手段であるが)安楽死がある
僕自身は肯定も否定もできないが、様々な止むにやまれない理由があり、
飼い主さんからの強い希望がある場合や、
動物自身が耐え難い苦痛うけており、回復の見込みがない場合に、選択肢として
提示する場合がある。
今回もそうゆう状況で、正しい選択のようにも思える。
もちろん、慎重に決断してもらう。
神様でもないのに、命を奪うことができてしまう。
自分の投与した薬で命の火が消える、、、、
静かに、、眠るように、、、、、
迅速に、冷静に、、、、、、
こみ上げてくる微妙な感情を抑えて、、、、
、、、、、、
さようなら。